2011年12月30日

2011年の認識論を振り返る

年末ということで、今年出版された本を紹介しつつ、今年の認識論を振り返ってみる。

1、徳認識論への関心が高まる。SosaやGrecoが従来のほとんどプロセス信頼性主義と変わらない立場から、知識の価値に着目して、近年、従来とは異なる立場に移行した。両者ともすでにこの新たな立場について本を出版しているが、Sosaがより入門向けの本を書いた。

Ernest Sosa (2011). Knowing Full Well (Soochow University Lectures in Philosophy). Princeton University Press.

知覚経験の内容に関する章を除いて、非常にわかりやすく彼の新たな立場が解説されている。

徳認識論は、主に信頼性主義に近い立場と、徳倫理をモデルにして主体のCharacterに定位した立場という二つの流れがある。後者にはKvanvigの昔の本くらいしか本として出版されたものがないのだが(Zagzebskiの両者の折衷のような立場についての本はあるが)、ようやく次世代の徳認識論者からの単著が出た。

Jason S. Baehr (2011). The Inquiring Mind: On Intellectual Virtues and Virtue Epistemology. Oxford University Press.

これはまだ読んでいないので、近々読んでみたい。

他にも、徳認識論についてのアンソロジーも出版された。

Heather Battaly (Ed.). Virtue and Vice, Moral and Epistemic. Wiley-Blackwell.

幾つか論文を読んだだけなので、この本の評価はまた今度。


2、近年のKnow-Howへの関心の復活をWilliamsonと共に牽引したJason Stanleyが単著を発表した。題名が直球すぎる。

Jason Stanley. (2011). Know How. Oxford University Press.

これもまだ読んでいない。しばらくknow-howがホットトピックになると思うので、勉強しないといけない。

3、ConeeとFeldmanのEvidentialismについてのアンソロジーが出版された。彼らは、Bonjourなどと並んで正当化に関する内在主義の最大の擁護者として知られていて、長いこと頑張っていたのだが、ついに著名な認識論者との公開バトルが実現した(ただし彼らの内在主義は、Mentalismで、Bonjourのアクセス内在主義とは違う)。この本は、序文や付録が充実していて、実に良い。付録の一つは、各論文の要点と、それに対する応答の要点のまとめで、一瞬で議論の核心が分かるようになっていて、実に便利。

Trent Dougherty (ed.) (2011). Evidentialism and its Discontents. Oxford University Press.

4.Epistemic Modalityについてのアンソロジー。これも数年来のはやりトピック。最近の認識論は、相当に言語哲学との結びつきが強く、この本などもほとんど言語哲学の本である。編者は、分析哲学の次代を担うと言われている、すごく評価の高い哲学者たち。

Andy Egan and Brian Weatherson (eds.) (2011). Epistemic Modality. Oxford University Press.


宗教認識論が今年はかなり盛り上がっているらしいが、全然詳しくないので、その最近の動向を紹介できる立場にない。

来年以降も、面白そうなアンソロジーの出版が控えているので、実に楽しみ。では皆さん、良いお年を!



posted by hakutaku at 14:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 認識論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする